「CRITICA」に續く次なる展開が期待されている探偵小説研究会でありますが、「「CRITICA」初版が残り僅かとなっています」という文章によると、「あの人」のハジけっぷりもあってか創刊號は大好評の樣子。更に「『2007本格ミステリ・ベスト10』に向けて」というテキストがありまして、これが非常に興味深いものとなっています。以下、自分が惹かれた部分に強調文字で記しつつ引用すると、
『本格ミステリ・ベスト10』というムックは、各コーナーの設定、インタビュー対象の決定など誌面構成については、探偵小説研究会全体の責任として、会員間の話し合いで進めています。また、そうして企画された誌面を具体化するため、多様な個性、意見を持つ研究会員たちが、個々の責任で記名原稿を寄せています。
一方、「本格ミステリ・ベスト10」というアンケートは、探偵小説研究会が本格ミステリに関する有識者と考える人々に投票を依頼し、集計結果を出しています(この時には、研究会会員もそれぞれ一投票者です)。「本格」の定義は回答者それぞれに一任し、1位から5位までを選び投票してもらう形式です。アンケート送付先は、過去3年間に回答してくれた方をベースとし、投票者にふさわしいと判断される人を適宜追加する方針をとっています。
探偵小説研究会では、回答を集約するなかから「本格」の尺度が炙り出されてくる。いかなるアンケート結果が出るにせよ、同じ形式で出し続け、批判や議論が起きることに意味がある。本格ミステリの輪郭を画していくうえで重要であると考えています。
簡單に纏めるとこれ、会の中では多樣な個性と意見を尊重していくゆえ、本格の定義は絶對ひとつ、とか一つの理論に従って活動方針を決めていくなんていうバカなみたいなことはしませんよ、ということでしょうか。まあ、當たり前といえば當たり前のことを述べているに過ぎないんですけど、こういうことを敢えて書いておかないと分かってくれない人がいる、というかこれだけハッキリ書いてもまだ分からないという「困ったちゃん」がいるということの方が問題といえば問題、ですよねえ。
で、ここ数日その「困ったちゃん」のハジケっぷりが素晴らしいことは皆さん既にリアルタイムで御確認済かと思うんですけど、自分としてはもうウンザリ、というかこれ以上、氏の發言にズルズルと引きずられるのは非常に危険カモ、と感じている次第です。
「人類は宇宙人がつくった」なんていう髭面禿男の妄言に對して「いやいやそれは違うんだよ」なんて真面目にツッコミを入れるのが野暮であるのと同樣、ひとたびそれが眞正の電波と分かればこれはもう、ハタからニヤニヤしながら生暖かく見守るというのが正しい愉しみ方でありましょう。
という譯で、未だ氏が鋭意執筆中の「論考」に關してはもう、ツッコミは無用、探偵小説研究会におかれましても一般人と同様に限りなくスルーというのが正しい對處方法かと思うのですが如何。とはいえ、個人的には法月氏に氏の「論考」を「電波的に解読」してもらいたいなア、なんて思ったりするんですけど無理ですかねやはり。