丁度「THE JUON/呪怨―ハリウッド版呪怨」と一緒に書店に竝んでいるところを見つけて購入したのですけど、ようやっと今日になって手をつけました。歸りの電車、大凡一時間の間に讀み終えてしまったので、まあ、そういう内容です。
何か今知ったのですけど、どうやらこの作品って三部作のなかのひとつのようで、自分はそういう背景も分からずに讀み始めたものだから何が何だか、というかんじです。
それなのに何で買ってしまったかというと、あらすじの煽り文句に「眼球を反転させた死体」とか「電磁波研究者」とかいう文字が躍っているのを見つけてしまったからです。これだけ見ると、「ナァるほど、こりゃ、電磁波を殺人光線みたいに使って人間をバッタバッタと殺していくようなサスペンスですね」とか考えるのが普通じゃないですか。このあらすじに眸を通した時、頭にあったのは、電磁波をアイディアの核にしたトンデモない怪作品、桜井武晴の「シグナル」でした。あっちは「脳がすべて溶け崩れていた」という強烈なコピーで煽っていたんですけど、「眼球を反転させた死体」っていうのもそれに竝ぶくらい凄まじい力があるじゃないですか。
しかしそんな期待に反して、本作はずっとおとなしめです。どっちかというと電磁波というよりは「悪魔の赤ちゃん」ってかんじですかねえ。BIBというアイディアはそのまま「ブラックジャック」のアレだし、とりたてて斬新なアイテムはありません。電磁波というトンデモをキーにしてもっともっと遊んでほしかったです。
それでもいかにも達者な文体は讀みやすく、するすると頭に入ってきます。電車の中でちょっと氣晴らしに愉しんでみたいという人にはおすすめだけど、自分みたいな人間にはちょっと喰い足りないというのが正直なところです。