ミステリとプログレのブログにオピニオン誌のジャケ写は似合わないと思うんですけど、今月號には恩田陸のインタビューが掲載されているのですよ。ミステリ好きの人で、こういう雜誌を見ている人も少ないと思うので、とりあえずFYIということで。
「夜のピクニック」と「ユージニア」についてふれており、結構興味深い内容を話しているので、恩田陸ファンはチェックした方がいいと思います。
ええと、そういう譯で、とりあえず簡単にコメントの抜粋を。
いままでは新味を感じてもらえる「プロット」と、それを效果的に見せる「テクニック」に命をかけてきたんです。今回(「夜のピクニック」のこと)はそういうところで惱まずに、とても伸び伸びと書けました。
あそこで大きなドンデン返しを起こしたいから、ここで「伏線を張っておこう」とか「少しテンポを落としておこう」とか、普段は腐心しているそういうことを、この作品ではまったく考えなかったんです。
なるほど、「プロット」と「テクニック」につい言及している個所はまさに彼女の作品に自分が感じていたことそのものでした。とすると、「夜のピクニック」は自分が恩田作品に惹かれている部分がごっそり拔け落ちていることになる譯ですが、……やはり今回はスルーで良いかな。
また「ユージニア」については、
……困ったのは、そのうだるような空気感に足を引っ張られて、原稿が遅々として進まないんですよ。……物語そのものが持つリズムってあるんだな、と驚かされました。
……宙ぶらりんの話を書こうというのが、この小説の目的のひとつだったので、出てくる人間も事件も全部グレーゾーンのままでいいと思って。読者に「判った」と言わせない話を書きたかったんです。
ただこのあと、犯人についてインタビューアの内田麻紀が触れている部分があるので、未讀の人はこれ以上讀み進めない方がいいです。これはちょっと、編集のひとも考えた方が良かったのでは。まあ、この作品の場合、作者も述べているように、犯人が判明したからといって小説の魅力自體が色あせるものではないんですけど、それでもミステリとしての意匠を持っている以上、最低限、犯人について触れる時は注意するべきではないですかねえ。
それともうひとつ、最後に「ユージニア」の意味が書いてあるのですが、……自分の勘ぐりはまったく間違いでしたよ。正解は、
これは、私の大好きなフランスのジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニの曲のタイトルから頂きました。
ということです。