(いや、タイトルは冗談です。本氣にしないように)
昨日の續きで「メフィスト」關連ネタ。有栖川有栖氏、「國名シリーズで臺灣を取り上げる予定はありますか?」という質問に「まあ、いつかは書いてみたい」なんて答えているのです。で、どんなものをネタに持ってくるかな、と大胆にも予想してみました。まず、タイトルはこれで決まりですね。
「台湾茶壺の謎」
茶藝館で日本人が毒殺される、……って考えたんですけど、毒殺は既にロシア紅茶で使われているんですよねえ。まあ、「マレー鉄道」みたいな長編にして毒殺もひとつに加えてですよ、ここはダイイングメッセージ好き、暗號好きの氏のことですから、以下のようなネタを出してくるのではないか、と。
1.日本と臺灣の漢字の違いを使ったネタ
……殺された日本人は床に自分の血で「口」「十」というダイイングメッセージを殘していて、この意味について色々と議論がなされる。やれ「これは田と書こうとしたのだが、指が滑って、十だけは右に書かれた。犯人は台湾人の田だ」だの、「犯人は被害者の商売敵だった叶という日本人だ」とか。結局眞相は、
「じゃあ犯人は叶じゃないっていうんか」
「そうだ。これを説明するには漢字の違いについて説明しておかないとな。なあ、アリス、
漢字といっても、日本のものと臺灣のものではかなり違っているんだよ。例えば「国」という字にしても、臺灣では「國」という漢字を当てている」
「じゃあこの「叶」という文字は日本の漢字じゃなかったというんですか。しかしそれはおかしい、台湾ではこんな漢字は使いませんよ」
火村の話を聞いていた陳警部が流暢な日本語でいう。
「台湾の漢字とはいっていませんよ」
「じゃあ、それは……」
彼も分かったらしい。火村が続けた。
「そう、簡字体。つまり中国で使われている漢字だったのです。日本語では「叶」は「かのう」と讀みますが、中国でこの漢字は日本の漢字でいう「葉」にあたる。(中略)……彼を殺したのかあなたですね。葉さん」
火村の言葉に、私の傍らで悠然と煙草を吹かしていた葉克華は口元に不敵な笑いを浮かべるとゆっくりと立ち上がった。……
……てなかんじ。もう一つ思いつきました。
2.東洋医学ネタ
死因は毒殺。茶藝館で円卓を囲んで台湾茶をたしなんでいたグループのなかで事件は起こる。……
「しかしそれはおかしいやろ。皆はその茶壺でいれてもらったお茶を飲もうとして、その味がおかしいことにすぐ気がついたやないか。何で蔡さんだけがそのお茶を飲んだっていうんや」
「蔡さんは毒の味が分からなかったんだ」
「そんなアホな。蔡さんは円山大飯店の一流シェフやったんやぞ」
「一時的に味覚を失っていたとしたらどうなる」
「そんなこと出来るわけないやろ」
「出来るんだよ。人体にはいくつもの経絡があって、そのなかには一時的に味覚を麻痺させるものがある。(中略)……そしてそれが出来るのは鍼灸医の林さん、あなたしかいない」
火村の言葉に、私の傍らで悠然と煙草を吹かしていた林松雄は口元に不敵な笑いを浮かべるとゆっくりと立ち上がった。……
さらにもうひとつ。しかし自分って何でこういうくだらないネタばかり思いつくんだろ。
3.ダイイングメッセージ武術風味
死因は刺殺。被害者は手足を奇妙な形に折り曲げて死んでいたのだが、火村とアリスはそれがダイイングメッセージだということを見拔く。
「王老師があんなふうに手足を折り曲げて死んでいたのには理由があった。陳式太極拳の師範であった彼が死の間際にその拳法の型を演じて絶命した、……そしてその型っていうのは陳式太極拳の二十四式のひとつ、白鶴亮翅ということやったな。白鶴亮翅という名前のなかに含まれている「亮」という漢字から、大谷亮が犯人ということになった。違うんか?」
「確かに王さんが死の間際に拳法の型を作って、その式の名前に含まれている漢字で犯人の名前を俺たちに伝えようとしたことは間違いない。しかしそれは白鶴亮翅じゃなかったんだ」
「しかし王老師の愛弟子である郭さんはあの死体を見て、白鶴亮翅といっていたじゃないか」
「そうだ。郭さんは嘘をついていない。しかし王さんが陳式太極拳の師範だったからといって、その式が陳式太極拳二十四式のものとは限らないじゃないか。
……王さんは陳式太極拳と同時に、弟子には話していなかったが、世界最強といわれる八極拳の伝承者でもあった。彼は八極拳の六大開のひとつ猛虎硬爬山の形をとろうとしたんだ。しかし振りかぶった肘が大きかったことと、弟子たちには自分が八極拳の伝承者であることを伝えていなかったことから、郭さんはあの死体を見て、太極拳の白鶴亮翅と誤解してしまった」
「じゃあ、犯人は大谷亮じゃないというんか」
「そうだ。猛虎硬爬山という名前に含まれている漢字を四つも持っている人がここにいるじゃないか。……あなたが王さんを殺したんですね、硬山虎猛(かたやまとらたけ)さん」
火村の言葉に、私の傍らで悠然と煙草を吹かしていた硬山氏は口元に不敵な笑いを浮かべるとゆっくりと立ち上がった。……
他にもいくつかくだらないネタを思いついたんですけど、長くなるのでやめときます(爆)。
さて、「稀覯人の不思議」の續きに戻るとしますか。