まだまだ続くECM NEW SERIESの一品。歌ものシリーズということで、色々と取り上げてきたのですけど、壓倒的な作品、またはたいした變わり種ということでプログレ好きの人にも訴求力のある作品というと、どうしてもECMの作品群は避けて通れないのですねえ。
で、今回はヒリアード・アンサンブル。
ヒリアードの中で何か一枚選ぶとしたら何が良いか、と考えたのですけど、ポール・ヒリアー在籍時の中から究極の一枚ということで、この作品を取り上げてみました。
このアルバムで歌われている曲なのですけど、プロティヌスという中世時代の謎の作曲家の音樂であります。とにかく殘響音の多いコーラスはたぶんに瞑想的な作品なのですが、このアルバムの凄いところは、本來であればパイプオルガンで演奏すべき長いドローンの部分もすべて人の声で演っているということ。一曲目の「Viderunt omnes」などは重層的に重なり合うコーラスが螺旋を描いて、天空に舞い上がっていくかのような臨場感が壓卷です。
「Officium」のように、流麗に時空を流れていくような曲展開ではないのだけども、いまであればミニマルミュージックとしても聽けるし、プログレ好きにも十分訴える魅力のある一枚だと思います。