美しすぎるアルバム。そうか、もうこのアルバムがリリースされて十年も経ってしまったのだなあ、と久しぶりに聽き直して感慨にふけってしまいました。
このアルバムが出た當事、自分は会社の仕事に行き詰まっていて鬱病を煩ってしまい、もう人生のドン底というかんじだったのですが、このアルバムを聴いてあまりの美しさに感涙したものでした(遠い目)。
もともとECM NEW SERIESで出ていたヒリアード・アンサンブルのアルバムは大好きでほとんど持っていたのですけど、ガルバレクの音樂は聽いたことがなかったので、このコラボは本當に衝撃的でした。またプログレやジャズばかり聴いていたものですから、サックスの音がかくも靜謐で美しい世界を奏でてみせるということも大變な驚きだったわけです。で、東京驛だったと思うんですけど、このOfficiumを演奏しに、ヒリアードとガルバレクが来日するっていうポスターを見つけて、ええ、もうすぐさまチケットをゲットしましたよ。それはそれは感動的なコンサートでした。
またこのアルバムについている解説本が素晴らしいんだ。「ブリーモ・テンポレ[はじめて……]」というタイトルでマンフレート・アイヒャーの文章が冒頭に掲載されているのですけど、これがまたいい。
さらにモラーレスの歌は「ヨブ記」からの引用で、「私を見逃してください。主よ、わたしの日々などむなしいのです。人とは何なのでしょう、なぜそれを大切になさるのですか?」という問いかけから始まる歌詞は、鬱病でガックリ落ち込んでいた自分を大変勇氣づけてくれました。
というわけで、贊美歌だの基督教だのに興味がない引きこもり君にも最高の抗鬱劑として、究極の一品といえるのではないでしょうか。