実はこれ、單行本で出た時に讀んでいませんでした。今回ノベルズで発売になったのでさっそく購入。クリスマス前に讀むと小説内の雰圍氣が味わえていっそう良いかも知れません。
事件の方は、著者の言葉にもある通り、あの占星術殺人事件を御手洗が解決したすぐあとのもので、有名人好きな素人が時折御手洗と石岡が住んでいる部屋に訪ねてきて、くだらない世話話を始める。実はその奇妙な話が大きな事件に關係していて、……というもの。内容自体はよく出來た佳作ですけど、あまり大きな盛り上がりもなく、最後はちょっと良い話で終わってしまう。讀んで損はないけども、あまり印象には残らない話ですかねえ。
氣になったのは、作中で登場するダウジング。これって本當に效果あるんですか?何だか自分はトンデモ科学だと思っていたんですけど、作中では結構大眞面目に取り上げられているので、どんなものなのかなと。それと帶には心優しい奇跡、とあるのですけど、御手洗の最後の言葉はちょっとイヤなかんじ。御手洗がその寶石を見つけて、女の子にサンタにかわってプレゼントする、という逸話のあと、御手洗が以下の言葉を呟いて、この物語は終わる。
「あの子も、これでサンタクロースの奇跡を信じられるだろう。夢が信じられるのもあとわずかだ。いずれ一家の経済状況も知るようになる。劣惡な環境で、あの子の魂が歪まないように祈ってやろう」