殘っていた中編「Yの誘拐」を讀み終えました。うーん、これを讀んでこの本に対する評價が変わりました。傑作です、これは。
本の帶には「精緻なロジック、堅牢なプロット、そして意外な幕切れ」とあるのですが、この最後の「意外な幕切れ」というのはこの本全体に隱されていたしかけだったということが「Yの誘拐」を讀んだ後で分かりました。
「Yの誘拐」は最初、息子を誘拐された父親の手記から始まり、第二部として、AHMの十人である皆が推理をする、という構成になっています。父親の手記を読み、彼らの推理を讀んでいくにしたがって私が思いついた犯人像というのは、當にオーナーの峰原が後半に指摘したものとまったく同じだったのですが、これが最後にまったく考えてもいなかった犯人を指摘して物語は終わります。この犯人は、まったく思いつきもしませんでしたよ。
それと「Yの誘拐」は文章の方がこなれていて讀みやすかったのも良かった。
この本はちゃんと収録されている順番通りに讀まないといけません。最初に「Yの誘拐」を讀んだらこの驚きはまったくなくなってしまいますので、決して「Yの誘拐」から讀み進めないよう。