とにかくこの本は最後の一作「フラスコ」の恐怖と狂氣に尽きると思う。これだけは絶對に讀んでいただきたい。
そのほかにも「サイコごっこ」や「病院まで」「ネックレス」「山手線」など、狂氣が際だった作品が目立つ。この中では「山手線」のゾッとするような狂いっぷりが恐ろしい。
ハルキ文庫から竹書房にくら替えして新しい一歩を踏み出した一作だけあって、こちらも作者の氣合いがビシビシと傳わってくる強烈な一册である。
また「家庭教師」など、最後のドンデン返しというかヒネリの效いた作品も忘れがたい。
東京伝説でまずは一册、ということになれば、やはり本作から、ということになるでしょう。