うーん、あまりに面白すぎて一氣に讀んでしまいました。これは凄い。タイムトラベルもの、パラレルワールドもの、というのが大好きな自分としてはもう、これは生涯に忘れがたい傑作として本棚に残しておきたいと思う。といっても、乾くるみという作家故、世間ではあまり話題にもならずに消えてしまうのだろうなあ、と思うとちょっと悲しくなりますねえ。
だいたい自分が好きなパラレルワールドものというのは、ネットでもあまり取り上げている人が少なくて、この思いを享有出來ないでいるのであります。
例えば平谷美樹の「ノルンの永い夢」。これなんか讀み終えた数日は何か熱病から覺めたようにボーッとしてしまうほど、自分にとっては強烈な讀後感を殘してくれたのだけども、あまり話題にもなっていないみたいだし。
この「ノルン」もパラレルワールドものだけども、本作の印象はちょっと違って、自分はシニアックの「ウサギ料理は殺しの味」を思い浮かべてしまった。何故でしょう。
提示される謎についてはさっぱり分かりませんでした。最後の方で、リピートした人間が殺されていく理由があきらかになるのですが、これが素晴らしい。何か世界がひっくりかえったような感覺を体驗出來て、大変満足出來ました。これはもっとたくさんの人に讀まれるべき小説だと思う。しかし、……話題にならないのだろうなあ。