最近角川の方で文庫になったみたいなので取り上げてみたいと思います。
御手洗が日本で活躍するもの、というだけでも買いだと思うのだけども、ネット上での意見を眺めてみると、この作品、「つまらなかった」「いや、昔のカンが戻ってきているのではないか」と意見が分かれているようです。
自分は佳作だと思います。とはいっても幽靈軍艦が何か、っていうのはもうバレバレでしたけどね。この作品は「水晶のピラミッド」を始めとする、小説のなかのサイドストーリーを愉しむものと割り切った方が良いのかもしれません。とはいっても、御手洗のアナスタシアに関する推理もなるほどねえ、といわせるだけの説得力はあると思うし、謎の提示が箱根のホテルから始まるというのも洒落ていて良い。
長編というよりは少し長めの中編といった趣の作品だけども、冗長にならずにうまくまとめてあり、文庫だったら手に取ってみる價値は十分あるでしょう。