ゆらbooksのゆらさんが紹介していたのを見つけて昨日ようやくゲット。カフェ本とかのコーナーとかではなくて、旅行本のところにありましたよ。
何しろこのとおりミステリばっかり讀んでいるので、こんな素晴らしい本がリリースされていたなんてちいとも知らず、ゆらさんのエントリを本好きPeopleで見つけなければ完全に素通りしていたところでした。ゆらさんに感謝。
さて、本作は寫眞家アイビー・チェンと泉美咲月氏とのコラボ本です。内容はというと、臺北市内の洒落たカフェの紹介をアイビーの寫眞と泉美氏の文章で、というかんじなのですが、アイビーの寫眞の悠然とした雰囲気と泉美氏の織りなす優しい空気が見事な親和を見せていて、單なる觀光ガイドとも、カフェを主題にしたエッセイとも異なる獨特の風格が感じられます。アイビーの寫眞は勿論いいのですが、コラムに添えられた泉美氏のスナップも何処か微笑ましいですねえ。
おおよそ臺北らしからぬ小洒落た雰囲気のスナップの數々に、臺北市内のトンデモなく汚いところまで見通している自分としては何だか異世界の情景を見せられているような不思議な感慨に浸ってしまったのでありました(苦笑)。とはいいつつ、ここ数年のうちに臺北にはこの本にもあるようなカフェがオープンして町の風景も變わってきていることは事実でありまして、実をいえばここに挙げられているカフェも名前さえ聞いたことのないものばかりで、完全に流行から取り殘されてしまっているなあと感じた次第。
紹介されている店のなかで一番気になったのが、台北之家、という「旧アメリカ大使館を蘇らせた台湾の新人気スポット」ってあるんですけど、これって數年前までお化け屋敷って呼ばれていた建物ですよね確か。これが写真を見ると白亞の見るからに洒落た西洋館に姿を變えていて吃驚してしまいました。これは是非とも来年帰った時には確かめてみないといけませんねえ。
この本で嬉しいのは自分のお氣に入りの誠品書店を取り上げてくれていることでしょうか。前にも書きましたけど、とにかく24時間営業というところが本好きの自分としてはたまりません。日本ではそう簡單に見つからない洋書などもワンサカおいてあったりして自分的にはかなり重寶していたのですけど、藏書數という點では最近台北101に出来たドでかい本屋に押され氣味で少し寂しい。
ちょっと惜しかったのは、この本で紹介されているカフェがおしなべて臺北市内ものだけだったことでしょうか。個人的には淡水とかの小洒落た店も取り上げてほしかったですねえ。まあ、もし次作からあるとしたらそれに期待というところでしょうか。
それと著者のひとり、寫眞家のアイビー・チェンについて。ジャケ裏を見ると、「ワード・ヤンの『カップルズ』に出演するなど國際的な女優として活躍する一方……」って書いてあるんですけど、これはエドワード・ヤン(楊徳昌)の誤植でしょう。
『カップルズ』は彼女のデビュー作でして、自分が彼女を知ったのも當然のこと乍らこの映畫でありました。映畫のパンフや當事のSwitch(1996年March)の特集記事によれば、彼女の母親は日本人と再婚して、10歳から16歳までの間を静岡で過ごした後、17歳からは英國に單身留學の經驗があり、……という譯で、中國語のみならず日本語と英語にも堪能の當に才女、であります。
最近の彼女の寫眞は見たことがないのですが、「カップルズ」の時の彼女はそれはそれは美しかった。もっとも映畫ではかなり可愛ソーな役回りだったんですけど。この「カップルズ」、今話題の張震も出演しているので、彼のファンもマストの大傑作。楊徳昌の映畫の中では一番とっかかりやすいのではないでしょうか。