「Mystery」に續いて新たに創刊された「謎詭」は、ジャケに「台灣第一本絶對不能錯過的日本推理情報誌」とある通り、日本のミステリの情報をドシドシ提供していこうというコンセプトです。
創刊號となる本作、とにかく内容が盛り沢山で、藍霄氏がミステリー文学賞の授賞式に参加した時のレポートや宮部みゆき氏訪談後記、さらには宮部氏の特集では樣々な豆知識をズラリと並べてみせるという宮部みゆき氏の大特集が目をひきます。また日本の樣々なミステリ賞の解説から、推理ドラマ(古畑任三郎など)、漫画(「月館の殺人」も)も含めて、當に日本、日本、日本づくしの一册といえるでしょう。
その中で、もっとも頁数がさかれているのが「「好看」、「必看」の日本推理六十作」と題して、日本のミステリの中から「好看(面白い)」で「必看(マスト)」プロが六十作を紹介したという特集記事。で、今回は資料的な意味も含めてこの六十作をここに並べておくことにします。
長編短編の区別なく織り交ぜたもの乍ら、ここから台灣のミステリ界が日本のミステリをどういうふうに愉しんでいるのか、またその傾向も見えてくると思います。
1. 半七捕物帳 / 岡本綺堂
2. 江戸川乱歩傑作選 / 江戸川乱歩
3. 死体蝋燭 / 小酒井不木
4. 夢鬼 / 蘭郁二郎
5. 悪魔が来たりて笛を吹く / 横溝正史
6. 猫は知っていた / 仁木悦子
7. ゼロの焦点 / 松本清張
8. 砂の器 / 松本清張
9. 危険な童話 / 土屋隆夫
10. 大いなる幻影 / 戸川昌子
11. 玉嶺よふたたび / 陳舜臣
12. 蒸発 / 夏樹静子
13. 幽霊列車 / 赤川次郎
14. 人間の証明 / 森村誠一
15. 七人の証人 / 西村京太郎
16. 亜愛一郎の狼狽 / 泡坂妻夫
17. 大誘拐 / 天藤真
18. 富豪刑事 / 筒井康隆
19. ぼくらの時代 / 栗本薫
20. 戻り川心中 / 連城三紀彦
21. 白い顔 / 田中芳樹
22. モーツァルトは子守歌を歌わない
23. カディスの赤い星 / 逢坂剛
24. 月光ゲーム / 有栖川有栖
25. 空飛ぶ馬 / 北村薫
26. 奇想、天を動かす / 島田荘司
27. 宿命 / 東野圭吾
28. 新宿鮫 / 大沢在昌
29. ななつのこ / 加納朋子
30. 黒猫館の殺人 / 綾辻行人
31. 四〇九号室の患者 / 綾辻行人
32. 異人たちの館 / 折原一
33. ロシア紅茶の謎 / 有栖川有栖
34. 水難の夜 / 歌野晶午
35. 姑獲鳥の夏 / 京極夏彦
36. テロリストのパラソル / 藤原伊織
37. 解体諸因 / 西澤保彦
38. 不夜城 / 馳星周
39. すべてがFになる / 森博嗣
40. 殺されたい女 / 野沢尚
41. 破線のマリス / 野沢尚
42. 池袋ウェストゲートパーク / 石田衣良
43. OUT / 桐野夏生
44. 巷説百物語 / 京極夏彦
45. 桜闇 / 篠田真由美
46. しあわせは子猫のかたち / 乙一
47. 動機 / 横山秀夫
48. ドミノ / 恩田陸
49. 模倣犯 / 宮部みゆき
50. 半落ち / 横山秀夫
51. 昆虫探偵 / 鳥飼否宇
52. 都市伝説パズル / 法月綸太郎
53. 月の扉 / 石持浅海
54. 僕と未来屋の夏 / はやみねかおる
55. 重力ピエロ / 伊坂幸太郎
56. ふくろう男 / 朱川湊人
57. 葉桜の季節に君を想うということ / 歌野晶午
58. 紅樓夢の殺人 / 芦辺拓
59.新本格魔法少女りすか / 西尾維新
60. 容疑者Xの献身 / 東野圭吾
何でも台湾では今、日本の新本格が大ブームなんだそうですけど、確かにこのリストを見ると、新本格「以降」の作家の名前も多く並んでいるのが分かりますねえ。因みにここに挙げられている作品は、台灣版が出ていない作品、乃ち未だ飜譯されていないものも含まれています。
ざっと挙げてみると、有栖川有栖「月光ゲーム」「ロシア紅茶の謎」、北村薫「空飛ぶ馬」、加納朋子「ななつのこ」、綾辻行人「黒猫館の殺人」、「四〇九号室の患者」、折原一「異人たちの館」、歌野晶午「水難の夜」「葉桜の季節に君を想うということ」、京極夏彦「姑獲鳥の夏」「巷説百物語」、森博嗣「すべてがFになる」、西澤保彦「解体諸因」、篠田真由美「桜闇」、乙一「しあわせは子猫のかたち」、鳥飼否宇「昆虫探偵」、法月綸太郎「都市伝説パズル」、石持浅海「月の扉」、伊坂幸太郎「重力ピエロ」、芦辺拓「紅樓夢の殺人」、そして西尾維新「新本格魔法少女りすか」、……って、おやア?
「台湾では日本の新本格が大ブーム」とかいっていた当人の作品が入っていない、というのは一体どういうことなんでしょうか(爆)。