下卷は一氣に讀んでしまった。なかなか御手洗も吉敷も登場しないのですが、最後、吉敷がヘリで現場に駆けつけて推理します。御手洗は電話だけ。吉敷は御手洗の残した言葉をヒントに犯行を推理する、という段取り。
犯人と犯行方法は予想外のものでびっくり。というか謎があまりに荒唐無稽なので、下卷を讀んでいる間は、「いったいどういうふうに終息するんだ?」と考えていたのですが、ちょっと強引なところはあるものの、ちゃんとした解答が出されています。
何というか、「奇想、天を動かす」のような、犯人の悲哀というものが傳わってくる作品です。犯行の壯大さという點では「奇想」の方が上だけども、こちらも捨てがたいと思う。
「ネジ式」よりもこっちの方が好み。「龍臥亭」よりも説得力のある終わり方をしていると思う。
個人的には本編とは直接関係ないものの、戦中の手記、「N研究所の思い出」のあとが凄く氣になる。