菅野よう子初體験となったこの作品、きっかけは本上まなみ目當てで見に行つた石川寛監督の同映畫でありました。映画で流れていた音楽が氣に入って購入したサントラ版がこれ。
繪がなくても十分に愉しめる作品に仕上がっています。全體は室内樂的な裝いですが、情感を盛り上げる素晴らしいフレーズが隨所に散りばめられていて、小品乍ら聽き終えた後は心地よい感動に包まれているという佳作。
靜謐なピアノが素晴らしい一曲目。この盛り上がりの部分は、井川遥と板谷由夏が朝まだきを走るシーンに使はれていてお氣に入りの一曲です。
このサントラを購入した當事はずっとプレーヤーの中に入っていて、毎日会社から帰宅した後、貪るやうに聽いていたのを思い出しました。暗かったんですねえ。映畫の方はDVDも購入して棚に仕舞ってあるのですが、滅多に取り出すことはありません。貳時間以上という、結構な長さですしね。それよりもこのサントラを聽き乍ら印象に殘っているシーンの數々を頭の中で思い出してみる方が手っ取り早いでしょう。このサントラ自體は壱時間にも滿たない小品ですから。
このサントラだけを聽いて、菅野よう子のことを、こういう美しい室内樂を書く人、と勝手に思っていた自分はこの後、誰もが認める大傑作、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX O.S.T.+」を聽いて、彼女の凄さを思い知らされることになるのであった。