以前金子飛鳥を取り上げたので、そのつながりという譯ではないのですが、今回は金子飛鳥も参加していたバカテク集團Adiについて書いてみたいと思います。
自分が知っている限り、Adiは二枚のアルバムをリリースしているのですが、このSoftlyは二枚目で92年に発表された五曲入りのミニアルバム。とにかく最初の曲「闇の長い人」からしてプログレ好きの人間にはグッとくるフレーズがテンコ盛り。前半のTECHIEの個性的なボーカルも良いが、中間奏の金子飛鳥のバイオリンが素晴らしいフレーズを奏でる。そして後半のギターがこれまたスティーブ・ハウ風で良い雰囲気を出している。そして何よりも重低音で全体を引き締めている渡辺等のベース。
貳曲目の「マチルダの樹にしるせ」はTECHIEと金子飛鳥のアカペラ。三曲目の「NINTOS」は一點して中華雜伎団が飛び出してきそうな愉しそうなフレーズ。これは仙波師匠のお遊びが效いていて、これはこれで良しとする。
四曲目の「SOFTLY」。渡辺のベースに導かれるように金子のつま彈かれるバイオリンが絡み、TECHIEの囁くような歌が重なる。間奏はもう金子飛鳥も獨壇場。派手な曲ではないけど、Adiの曲が持っている靜謐な美しさをよく顯した佳曲であるといえよう。何となくカラクのアルバムに入っていてもおかしくないような雰圍氣。
最後の「WALK ON AIR」も「SOFTLY」と似たような曲。間奏も金子飛鳥のバイオリンはちょっと愉しそう。ジャズっぽいスイング感がスパイスとして效いている。後半はサンバっぽい囃子とバイオリンで締めてこのアルバムは終わる。
ミニアルバム乍ら聽き所満載の、もし見つけたのであれば絶對に手に入れておきたい珠玉の一枚である。