「ギターを持つ詩人」というタイトルで日本盤も発売された、陳綺貞のサードアルバム。確かジャケは違った筈。
リリースを重ねるごとにロックへのアプローチが際だってきている彼女だけども、二枚目を聽いている人にはこの音の変化は予想出來たのではないでしょうか。とにかく一枚のアルバムを出す迄何年も待たされてしまうというのが唯一の不滿でしょうかねえ。
フアースト、セカンド、そしてこのアルバムとどれもお薦めではありますが、ロツク、それも作り込まれた音が良い、という人にはこの作品ですかね。ジヤケットのモノクロのイメージそのままの靜謐なイメージのフアーストも素晴らしいし、ばっさりと髮を剪って躍動的な音へと變わったセカンドも捨てがたいのですけど、やはり現時點でのお氣に入りはサードですかね。
六曲目の「in my closed」が特に良い。この曲はピアノにアレンジを變えてアルバムの最後に再度登場するだけども、何處か寂しげで印象的な曲。確かアルバムが発売された時も臺灣のFMでこの曲がガンガン流れていたっけ。
叉一曲目の「miss paranoid」のギターにようく耳を澄ませてみれば、バックで鳴っているこのギターって、一寸ハケツトっぽくないですかね。それも「Second Out」のライブで聽かせてくれたあの音。まさか、陳綺貞がプログレとかハケットを聽き込んでいるとも思えないので偶然だろうけど、ハケットのギターが好きな小生としては興味深い一致でありました。
捨て曲なし。中華ポップスフアンだけのものにしておくには惜しい一品。プログレ好きにも訴えるものがある輕快なギターサウンドは一聽の価値あり、ということで。