amazonの「Fairytales of Slavery」の紹介文を読んでみると、「This string-driven British quartet once specialized in Dead Can Dance-style reveries」とあるのですけど、本作は確かにDEAD CAN DANCEの1stの雰圍氣が若干殘ってはいるものの、キーボードの歪んだ音とノイズっぽいギター、ミニマルミュージックのように執拗に繰り返される旋律が特徴的なアルバムです。
またDEAD CAN DANCEにはブレンタンがいる譯で、女声だけで構成されている本作とはやはり違うなあ、と思います。
ただ、このGOTHっぽい妖しい世界、ハマる人にはハマると思います。例えば二曲目の「Open Eyes」の出だしのオルガンの旋律などがそうで、リフ自體も大きな起伏はなく單調な繰り返しで決してグッとくるフレーズなどないのですけど、この雰圍氣は確かに普通のロックでは説明出來ないですねえ。アルバムに収録されている曲の全部が全部妖しいという譯ではなくて、例えば三曲目「Sunshine」などは結構壯快感のあるコーラスが印象的で、ギターのリフも何だか恰好いい。四曲目の「Distance」は暗いピアノで始まり、闇のなかから浮き立ってくるような女声が美しい。續いて「Play」はストリングも絡めて、あどけなさを裝った少女の歌聲がそれに續き、……と思っていたらいきなり絶叫で度肝を拔かせ、ギターとドラム、幽しげな悲鳴が渾然一體となって盛り上がります。
そのほかの曲もそれぞれが特徴的で、カラーもGOTHっぽい雰圍氣で統一されているものの、音の仕掛け自體はなかなか凝っています。プログレ好きでも結構愉しめる一枚だと思います。