大大大大大大大傑作!
うーん、この物語が孕んでいる凄みに壓倒されてしまって、ちょっと言葉を失ってしまってしまいました。うまい表現が見つかりません。
はっきりいってこれ、世紀の大傑作、現代の「虚無への供物」だといってしまってもいいのではないでしょうか。っていいすぎか?いや、そうじゃないでしょう!
竹本健治の「匣の中の失楽」が「虚無への供物」の樣式を受け繼いで、歪んだ青春小説を書き繼いだのに對して、本作は「虚無への供物」の樣式のみならず、中井英夫の心意氣までをも組み込んで、現代の「供物」へと昇華してしまったという凄い代物。更には「虚無」の前身ともいえる「ドグラ・マグラ」をもリスペクトしているいうところがまた何とも。
「虚無への供物」に関してはもう、人それぞれに格別の思い入れがあって、百人いれば百人の意見があると思うのですけど、まあ、ここでは「虚無」を「本格ミステリ」「變格ミステリ」「社會派ミステリ」という側面からとらえて、本作はこのすべての要素を受け繼いでいるのではないのかしらといいたいわけです。
うーん、何かいろいろと話したいのですけど、ちょっと頭が眞っ白になってしまって、うまい言葉が見つかりません。とりあえず数日おいて、またコメントしようと思います。
とりあえず、今から本作に取りかかろうという方がいたら忠告しておきます。明日、受驗の人は讀み始めちゃダメです。仕事で大事な會議を明日に控えている人もダメです。要するにそれだけの覺悟で挑んでくださいということだ。
さらにもうひとつ。もし「未明の悪夢」と「恋靈館事件」「殉霊」を未讀の人は讀まない方が幸せになれると思います。自分はまだ「恋靈館」を未讀なのでいま、激しく後悔しています。まあ、数日経てばもう少し冷静に本作を見ることができると思うのでまたその時に。