大賞が發表されてから第4回ビーケーワン怪談大賞ブログに投稿された作品を少しづつ讀んでいったんですけどようやく讀了、いずれも興味深いものばかりで堪能しました。ただ自分がこの投稿作品のすべてを讀破してやろうと思いついたのは些か不純な動機からでありまして(爆)、讀み巧者のプロである東、福澤、加門三氏がセレクトした作品と自分の趣味嗜好にはどれくらいの開きがあるのかそれを知りたい、とまア、そういう次第です。
で、全作品を讀んだ中で、自分の中のお氣に入りをざっと擧げていくと、定番ネタをこれまた定番のオチに繋げ乍らも語りの簡潔さに惹かれてしまう「胡蝶の夢」、キ印ネタが一轉しておぞけを誘うオチが素晴らしい「思念」、とぼけた語りのなかに牧野センセっぽい惡魔的な情景が強烈な「ガス室」、入れかわりというミステリっぽいネタで不安を誘う結末が効いている「キミは本物?」、実話系でありそうな話ながら、やはりオチが薄気味悪い「電話」、シュールな情景が強烈な「生ゴムマニア」、平山センセ系の狂氣がイヤ感を醸し出している「吉田爺」。
さらには「ミユキ カアイソウ」から始まる例の怪文書を髣髴とさせる「カオリちゃん」、何となく日野センセの絵柄を思い浮かべてしまう「青い鳥」、これまた実話系っぽい語り乍ら薄気味悪いものの描写がイヤーなかんじの「18:00」、語らないことでいいようのない不安感を見事に描き出している「かぶとむし」、これぞ定番ともいえる落とし方と見事な構成がお氣に入りの「茉莉花」、オチのイヤ感ではピカ一の「未消化」、鴉と奇妙な偶然が不穩な空気を釀している「テスト用紙」あたり。
で、お氣に入りをチェックしてから三氏が取り上げた作品リストを見てみたんですけど、「ガス室」をはじめとして結構自分の嗜好とかぶっていたのにひと安心ですよ。ただ三氏がセレクトした作品を比べてみるとこれが叉思いの外バラバラで、大賞を選出することの難しさというものについて考えてしまったのでありました。
で、自分が氣に入った作品を投稿した作者の他の作品をもっと讀んでみたいと思ってググってみたんですけど、不狼児氏や我妻俊樹氏のものと思しきサイトは見つけたものの、クジラマク氏など發見に至らなかったものも多數、一体に皆さんは自分のサイトとかブログを持っていないんでしょうかねえ。それともただ單に自分の搜し方が惡いだけなのか、どうなんでしょう。
こういう投稿作品を讀んでいつも考えてしまうのはプロとアマチュアの違いというところでありまして、掌編とはいえ本というかたちにならない、或いはならなかった物語の中にも傑作怪作がまだまだあるとは思うんですよねえ。で、大手のミステリ賞でもこんなかたちで投稿作を讀むことが出來たらなア、と思ってしまったのでありました。
ところで皆さんはネット小説ってどういうふうに見つけているんでしょうか。商業誌にはマイナー過ぎて發表出來ない、それでも自分のようなマニアには傑作、みたいな作品ってまだまだ何処かにあるとは思うんですけど、自分の探す努力が足りないのか、なかなかそういう物語に巡り会うことが出來ません。
ミステリ、幻想文學系にフォーカスしたネット小説の投稿サイトとか、ポータルサイトって何処かにありませんかねえ。もし皆さんの中でこれは、というおすすめがありましたら是非とも教えていただきたいと思いますよ。
ないんだったら自分でつくってしまった方が早いのかなア、とか考えたりもするんですけど、ネットのミステリ界では大御所とされている方が音頭をとるのなら兎も角、自分のようなプチブロガーが投稿を呼びかけたのではまったく盛り上がらないでしょうし(爆)。自分と嗜好を同じくするアマチュアの方の作品をもっと讀んでみたいとか、讀んでもらいたいとかいうニーズがあるのならば一つデッチあげてみようかなア、なんて考えたりもするんですけどねえ。