恩田陸、新津きよみ、 小林泰三、乙一という超豪華なラインナップ。
いずれも素晴らしいのですが、アレ系が好きな自分として一番推したいのは小林泰三の「攫われて」でしょうか。実はこの本、発売された當事、乙一の「SEVEN ROOM」が目當てで購入したんですけど、一番驚かされたのがこの作品でした。
誘拐された三人の少女の物語なんですけど、そのなかの少女のひとりが僕にそのときの話を聞かせるという趣向で、最後にあっという結末を用意しているという、作者の作品の中でもミステリの佳作といわれているアノ作品に勝るとも劣らない仕掛けが堪能出來る傑作。ミステリの短篇というのは構成の妙で見せるものだ、という心意氣が憎いです。
乙一の「SEVEN ROOM」は鬱々とした雰圍氣と絶望的なラストがとにかく恐ろしい一品。單行本の「ZOO」にも再録されていましたけど、この作品も映畫化されるんですね。でも閉鎖された空間の鬱屈とした舞台空間といい、弟である僕と姉とのやりとりといい、映畫で見せるには恰好の素材といえましょう。でも、姉役が市川由衣ですか。うーん、自分のなかではもう少し年上の印象があったので、ちょっと何というか。それと公式サイトの写真を見ると殺人鬼の姿がちょっと平井堅のシルエットみたいでアレなんですけど、これまた自分のなかではもっとでっぷりとしたオタクっぽい(ブギーマンとかレザーフェイスみたいなかんじ)雰圍氣の男を想像していましたよ。
「攫われて」だけでも買う價値はあると思う一册なんですけど、あっという間に讀めてしまうので、立ち讀みでもして、ラストに驚いてもらいたいと思います。自分はこの結末、まったく考えていなかったので、やられてしまいました。おすすめです。