大傑作!帶には「胸を打つ感動と美しい謎。」とあるのだけども、この言葉に偽りなし。最後、探偵役の男性があるシーンで推理を披露するのだけども、その過程で三年前に亡くなった男が何をやりたかったのかが明らかにされる。眞犯人が分かったときには、不覺にも涙を流してしまいましたよ。
とにかくサスペンスと謎解きが最高の純度で融合した素晴らしい作品だと思います。重厚さというものはないのだけども、この厚さの物語にそんなものまで求めてしまうのは野暮というもの。登場人物たちととに、この畳みかけるようなサスペンスを堪能するのがこの本の愉しみかたというものでしょう。
またついつい冗漫になってしまいがちな謎解きの部分をサスペンスとうまく融合させて飽きさせないような構成は見事としかいいようがありません。
石持浅海はカッパ登竜門の中でもまったくのノーマークだったのだけども、激しく後悔しています。これはほかの作品も絶對に讀んでみないといけませんな。
水の迷宮(石持浅海)
ズボンのポッケに手を入れて水族館の大きな水槽を見上げる異国の少年。そこに書かれて