という譯で昨日の續きです。尚、このページをスキャンしたものがこれになります。
野「台湾でも人氣のある館シリーズですが、今後の計畫などありましたらお聞かせ下さい」
綾「このシリーズは實際のところまず一作をものにして、その後一作また一作というかんじで書き續けた結果シリーズになったもので、予定では十作で完結という構想です。ただ將來については何ともいえません。僕は「シリーズ」ものみたいなかんじで自分の創作を限定してしまいたくないんですよ。もしかしたら將來は十一作、或いは十二作というのもあるかもしれないけど分かりません。
一作目となる「十角館の殺人」から今年出版することが出來た「びっくり館の殺人」まで、一作一作はそれぞれが独立した物語になってます。ただ僕としては讀者の方には順番に讀んでいってもらいたいですね。そうすればその中に面白い發見もあるでしょうし。この、台湾で出版された「暗黒館の殺人」は僕にとっては集大成的な作品で、驚愕の眞相、怪奇趣味、神祕、推理、サスペンスといったあらゆる要素がこの本の中には込められています」
野「あなたは麻雀名人戦でも優賞したこともありますけど、やはりそれは麻雀がかなりお好きだということですね」
綾「(皆に腕時計を見せて)この腕時計なんですけど、ちょうど一から十二までの數字のところが麻雀の牌になっているんですよ。見ての通り、麻雀は大好きですね。僕は以前、麻雀をテーマにした推理小説を書こうと考えたことはあるんですけど、よくよく考えてみると台湾と日本では麻雀のルールも異なるし讀む上でよろしくない、ということで諦めました」
野「あなたは館シリーズのゲーム化のプロットも手掛けられたわけですけど、將來作品が映畫化される可能性については如何でしょうか」
綾「今のところは分からないですね。將來のことについてはあまり考えたくないというか、當初ゲーム化の話をいただいた時、僕はゲームをするのが本當に好きだったんですよ。聞いたところによると、宮部みゆきさんは今ゲームにはまっているそうなんですけど、彼女にゲームの樂しさを教えたのは僕ですよ(笑)。ただゲームの仕事に携わってからはプレイするのがそれほど好きではなくなってしまったんですよね」
野「あなたが愛する推理小説について、もし宜しかったら台湾の讀者に紹介していただけますか」
綾「特に好きな作家といえばやはりクリスティですね。『一個都不留(『そして誰もいなくなった』)』は『十角館の殺人』の原型ともいえるものですし。あとはキングの『戰慄遊戯(『ミザリー』)』も好きですね」
野「推理小説を書こうとしている人に對して何かアドバイスなどありましたら御願いします」
綾「具体的なアドバイスとなると難しいですね。今、僕も次に書こうとしている作品について色々と惱んでいるところですから。ただ推理小説の創作に興味がある人に對してアドバイスが出來るとしたら、まずプロットをしっかりと纏めること、そしてロジックの部分を強くすることでしょうか。それとプロットが出來たあとは内容にも美しさが込められていることですね。そうすることによって次第に自分の風格というものを出していけると思います」