超絶二人語り。
一昨日だったか、MTVを見ていたら土屋アンナとBOO氏がDEATH FROM ABOVE 1979の紹介をしておりまして、BOO氏曰わく、DEATH FROM ABOVE 1979は凄い、もうベースとドラムの二人だけで何でも出來てしまう、みたいなことを語っておりました。
まあ、DEATH FROM ABOVE 1979を絶贊するのはいいんですよ。しかしその場で、ルインズに言及しないというのは一體全體どういうことなのかと。ベースとドラムの二人組でトンデモないことをやるバンドといえばもう、和プログレリスナーがまず頭に思い浮かべるのはルインズ、ですよねえ。
まさかプロのBOO氏がルインズを知らないなんてことは考えられない譯で、だとするとこれは和モノには言及してはいけないとかいうMTVの陰謀なのかはたまた、……なんて妄想をたくましくしても仕方がないので、とりあえず今日は故デレク・ベイリー翁とのバトルが痛快だった「Saisoro」に續いて、再びルインズを取り上げてみようと思った次第です。
ルインズといっても色々ある譯で、その中でも今回は、前回取り上げたKBB繋がりのライブもの、ということで、新宿ロフトでのデビューライブを収録した奇跡的音源集「EARLY WORKS LIVE & UNLEASED TRACKS」でいってみたいと思います。
この新宿ロフトでのライブは1986年の二月。つまりもうヘタしたら二十年以上も昔な譯です。まずもってキャリアが違いますよ。伊達にドラムとベースの二人組だけで「ウワオウワオ」とか「ガラルルルル」とかやっている譯ではありません。ロック、パンク、アバンギャルド。要するに何でもありでい乍ら無類に恰好いいというのがこの頃のルインズで、變拍子と樣々なギミックでマニアの度肝を拔くというよりは、とにかくその直情的なロック魂パンク節で聽くものの五感を覚醒させる激しさが素晴らしい。
冒頭のデビューライブは、セカンドの「LOVE」から幕を開けます。力の入った吉田氏のドラムが疾りまくり、それに負けじと河本氏のベースも硬質な音を彈き出します。全編休みなくメドレー形式でファースト・セカンドの曲が演奏される様は當に壓卷で、オーディエンスが歓聲をあげる暇もありません。
過激ながら、素直にロック的パンク的な文脈の中で説明出來る明快さ。これは二曲目から曲群を聽けば明らかで、例えば二曲目の「FIRMER」などは高音のベースがメロディを演奏した後、見事なタメとフックを效かせてサビのコーラスへ續く構成など普通に恰好よく聽けてしまいます。
「RADIX」とても、「グワオグワオ」「ジャルルルルル」と吉田氏の野獸ボーカルばかりに耳がいってしまいがちですけど、ベースが一定のフレーズを繰り返しながらもサビの雄叫びボーカルに転じるところなど、當にロック的な文脈でも十分に理解可能な流れがこれまた格好良く決まっています。
「AMALGAM」の冒頭の、暴走といってもいいベースとドラムの疾走ぶりはパンクだし、「SWING」の直線的に進む音構成や、「TROPIC」の過激さを潛めながらも転調を繰り返していく小メドレー形式の曲もまた、一場面一場面にはギミックを排した明瞭さが際だっています。
寧ろ混沌の度合いが増しているのは、ジョン・ゾーンの狂氣凶器のサックスを絡めた「GRAND CANYON」や「SYNCOPHANT」、「DRY LUNGS」の三曲で、ベースとドラムが刻み出す一定のリズムの間隙を縫いながら、斷末魔の豚の雄叫びのごとき咆哮をあげるサックスはあまりに危険。特にその中でも「SYNCOPHANT」のハチャメチャぶりはある意味極北といえるほどの凄まじさで、例によってブギーッというサックスの咆哮から、すぐさまドラムとギターが過激に疾さを増しながら混沌へと突き進んでいく様は怖すぎます。
という譯で、ベースとドラムの二人組バンドが凄い、なんてことは、和モノのプログレリスナーにしてみればあまりに分かり切ったことでありまして、寧ろ何故プロの方がルインズを黙殺してしまうのか、そればかりが氣になって仕方がないのでありました。何故なんでしょうねえ。
Refusal Fossil
【Ruins – Refusal Fossil】
ドラマー、吉田達也。この人はホント、尋常じゃない。異常に高いスネアのピッチがただならぬ緊張感というか、なにか到達し得ない彼方という感じ。Ruinsはドラム+…
cd:strip me?(DVD付)…
とにかく、かっこいいです。アンナ最高です。日本の女性ロックシンガーのなかでもトップクラスだと思います。パフォーマンスもかっこいいし、なによりカリスマ性があります。この1