以前、「天に還る船」を取り上げた時に、作者の小島氏と島田御大がどのようにしてこの作品をつくりあげていったのか興味があると書きました。
WS島田荘司のサイトに「南雲堂刊、『天に還る舟』のできるまで」というのを見つけまして、ここで小島正樹氏が練り上げたプロットを島田御大とともにこの作品に仕上げていくまでのいきさつが記されているのですが、……嗚呼、どうやら例の南京事件に關する内容は小島氏の構想段階から既にあったもののようで。ふう、そうですか。そういうことですか。だったら何もいいません。
しかしこの小島氏のプロットに關しては、御大も、「中国大陸での日本軍のエピソードはとてもいいですね。そういう日本軍の残虐を、物語りに大いに反映させましょう。」と大ハシャギです。
自分としては、あの作品において南京事件を取り上げるような冒險を犯さずとも、他のもので充分に代替可能だったと信じるのですが、まあ、予想に反して小島氏のアイディアだったことを知ってちょっと落胆しましたよ。
大體、南京事件なんてものが動機なんてあまりに安直に過ぎやしませんかね。山田正紀氏の「ミステリ・オペラ」は南京事件が氏の物語的幻想と分かちがたく結びついていたが故にかような傑作となりえた譯で、そもそも本作とはその成り立ちからして異なります。志が違う、といってもいい。
では「ミステリ・オペラ」のように物語を幻想に向けるのではなく、あくまで現実と対峙しつつ過去の大戰をミステリへと昇華させた傑作とはどのようなものなのか。そんなお手本を次のエントリで示すとしますかね。
おお、これは挑発的な…。うーん、このテーマだと「哲学者の密室」くらいしか思いつかない。次のエントリー楽しみです!
しかし、御大のハシャギっぷりはあいたたた、って感じですねえ。らしいといえばらしいですが(苦笑)
take_14さん、おはようございます。
いや、「哲学者の密室」はベタなんで、ここはやはり自分らしくマイナーなやつを出します(^^;)。