古今東西のキモチ悪い拷問を集めて読者をイヤーな気持ちにさせるグロ描写も満載、というこのシリーズも本作で完結。何となーく前二冊よりも薄いし尻すぼみ的な終わり方だったらちょっとイヤだな、……なんて本を手に取った時は感じてしまったのですが、結論からいうと杞憂でした。
シリーズのウリであるグロくてキモチ悪い拷問シーンに関しても期待通りで、特に今回は奇才・式貴士の「カンタン刑」がお気に入りという方には自信を持ってオススメできるエグいネタがひとつ、ズドンと投入されており、「ソレ」が嫌いな自分としては背筋をブルブル震わせながらも大満足。
シリーズもののオトシマエの付け方としては、謎の女性の存在やヒロインの記憶の消失など、いくつかの謎の背後にはどのような真相が隠されているのか、というところが気になるところであるわけですが、ホラーでありながらこのネタで来たところはちょっと意外で、個人的にはかなりの盲点でありました。そのあたりが短さもあってやや駆け足になってしまっているところは物足りないものの、ヒロインの思いとその趣向を結びつけたラストは秀逸で、さらにはシリーズのウリである拷問をそうした感動に傾いた幕引きと併走させて強引に終わらせてしまった結構の破天荒さも清々しい。
ジャケにはなぜか牛が書かれてあって「?」なわけですが、牛神かと思えばさにあらず、しっかりと拷問に絡めてあるところにもニヤニヤしてしまいました。それとともにジェットコースターホラーという惹句通りに、ヒロインの周りの登場人物がジャカスカ死んでいく展開は予想通りながら、あの人が頭を吹っ飛ばされてご臨終というのは完全に不意打ち。これにはかなり驚いてしまいました。
巻末には主な登場人物表と「これまでのあらすじ」があって、本作から取りかかることもできなくはないのですが、シリーズのウリであるエグすぎる拷問シーンをしっかりと味読するのがシリーズを愉しむ上での所作ではと推察されるゆえ、やはり一冊目から取りかかるのが吉、でしょう。