さて、前回THE HILLIARD ENSEMBLEの「PEROTIN」を取り上げましたけど、アカペラ絡みということで、今回は色物を。
吉田達也って人は本當に異能の人、とでも呼ぶべきアーチストで、このアルバムでは本業のドラムもなしで、完全なアカペラだけで珍妙な世界を創造しています。記憶が曖昧なのですが、このアルバムがリリースされた頃って、グレゴリオ聖歌とかエニグマが流行していたのではなかったかしら。で、ああいう流れを吉田達也流に表現してみたら、こんなになっちゃいました、と。
ジャケもキテるが、ジャケの裏にあるモノクロ寫眞なんて、完全に莫迦やってます。「BITAVITA」から「EUROPE」までは完全に莫迦の世界ですが、五曲目の「JOHANNES」は三人の声にもエコーをかけて、ちょっとペロティヌスっぽい雰圍氣も、……ないか。六曲目の「DANZOTTO」からは再び、ホロホロホロだのワヒッワヒッ、ジャッジャッジャッ、と奇妙な雄叫びの應酬が續きます。八曲目のDOMODOMO」は完全にお遊びの世界。「TSIONGHI」はドオーンドオーンというドローンめいた声が何處となくチベット音樂やホーミーっぽい雰圍氣を出しています。
で、こんな曲でも続けて聽いていると、何となく、メレディス・モンクあたりと比較してみるかとか思ってしまうから困ったものですよ。