ボイスパフォーマTAMIAとパーカッショニストPIERRE FAVREとのデュオ。ECM NEW SERIESにふさわしい、靜の世界を体現した素晴らしいアルバムであります。
PIERREのパーカッションは間を十分に活かしたもので、何となく音の質感が以前紹介した多加美に似ている、というか、ある時は遠くで囁き聲が響いているかと思ったら、地の底から振り絞るような声を出したりといったパフォーマンスは、もろ多加美系といっても良いでしょう。とはいっても、向こうが一枚聽くのにかなり忍耐を要するものだったのに對して、流石ECM NEW SERIESです。あそこまでテンばった音にはなっていないところが宜しい。
それでもチャカポコいっているPIERRE FAVREのパーカッションは何となく初期のポポル・ブーっぽかったりするし、萬人が愉しめるようなものではないことも確かで、聽く人を選ぶアルバムです。
途中から妙に陽氣な曲調に転化する「WOOD SONG」やアフリカの民族音楽っぽい旋律が印象的な「MAROUA」などは結構普通っぽいところもあるのだけども、暗闇の中からの雄叫びが凄まじい「DE LA NUIT…LE JOUR」や、チーン、という鐘の音もあってお經っぽい「YEMANJA」などを聽くと、こりゃあ前衞音樂だなと再認識してしまった次第。
多加美のアルバムを最後まで難なく聽き通せる人だったら全然問題なく聽けるでしょう。壯絶な女声に興味がおありの御仁にはおすすめです。