このブログはサブタイトルに「プログレっぽい音樂」とあるように、プログレそのものというよりも、プログレの周邊、或いはプログレが好きな人にも氣に入ってもらえるような音を取り上げていきたいと考えています。
で、このDEAD CAN DANCE。一時期、4ADの音樂にはまっていた時があって、當事の定番といえば、このDEAD CAN DANCEとコクトーツインズでした。どちらも耽美的なジャケ寫に浮游感ある獨特の音という共通點はあるものの、コクトーツインズの方がアルバムを經るごとにポップになっていくのと相反して、DEAD CAN DANCEの方は中世音樂や民族音楽的要素を取り入れていき、ロックやポップスから離れたアプローチを取っていきました。で、今回のこのアルバム「WITHIN THE REALM OF A DYING SUN」は、ロック的音樂から、上に挙げたようなDEAD CAN DANCEの獨特のカラーへと移項していく上での分岐點になったのではないかと思っています。
前作「SPEAL AND IDEAL」でもチェロやホーンなどを大胆に導入してクラシック的な音を奏でていましたが、このアルバムではジャケ寫そのままに、全編を中世風の荘嚴な雰圍氣が覆っている。前半はブレンタンの低い声がいかにも重厚な音を表現すれば、後半はリサの一種神懸かりともいえる呪術的な空間をつくりだしています。
個人的には後半「CANTARA」の盛り上がり、そして「SUMMONING OF THE MUSE」「PERSEPHONE」におけるリサの素晴らしきすぎる歌聲が好み。
後半などロック的なアプローチからは完全に逸脱してしまっていますが、クラシックや中世音樂ともまた違った獨特の音世界は今聽いても新鮮です。現代音樂やプログレを聽きなれている人には容易に受け入れられる音だと思います。大推薦盤。