スエードって、グラムロックの懷古とか、マンサンなどと同樣に九十年代のUKロックの復活(ブリットポップとは微妙に違う)みたいな文脈で語られることが多くて、プログレ好きの人間が取り上げているところを見たことがあまりないような気がします、……というか私が知らないだけでしょうか。
スエードのセカンドとなるこのdog man starなんてもう、ジャケからして七十年代のあの時代を髣髴とさせるじゃありませんか。さらにハモンドとかオーケストラとか、音的には當にあの時代の音っぽい。私はそんなにボウイとかグラムロックを聞き込んでいるわけではないので、そちら方面の人たちがスエードをどういうふうに評價しているのかは今ひとつ分からないのですけど、プログレ好きの自分からすれば、これはピーター・ハミルですよね。自己陶酔的なブレットの歌いっぷりは當に初期のハミルっぽいし、美しい旋律とか、ギターやドラムの生音を大切にした曲の雰圍氣とかも、やはりハミルだなあ、と感じてしまう。
特に素晴らしいのが最後の曲である「STILL LIFE」。もうこれなんか、ガブリエルの「Here comes the flood」ですよ當に感動的なフィナーレというかんじで、アルバムの最後を飾るにふさわしい名曲です。またこういう曲を最後に持ってくるあたりがいかにもイギリスらしいというか。マンサンのようなカラッとした感覺はなくて、ひたすら濕っぽいんですけど、ハミルが好きな人なら絶對いけると思います。