エクソシストビギニング。傑作だと思います。脚本がよく錬られていて話のテンポもよく、最後まで飽きずに愉しめました。
監督はレニー・ハーリン。「ダイハード2」をメガホンを握った人。ダイハードは、1よりも2がお氣に入りだったのでこれも良かった。ダイハード2も確か敵役はドイツ人だったように記憶していますが、今回も主人公のメリン神父のトラウマに関連しているのがナチス。このトラウマは彼が神に対する信仰を捨てたことにも関連しており、このあたりもよく描かれていました。最後の悪魔の誘惑のところでこのシーンが出て来るところもお約束。
プログレ好きの自分としては、音樂担当がトレヴァーラビンだったというのがちょっと驚きでした。公式サイトを見て初めて知ったのですが、この人、最近は何をやっているのかと思ったら映画音樂の仕事をこなしていたんですねえ。アフリカの呪術的な旋律やリズムを取り入れつつ、メリン神父が再び悪魔に立ち向かうことを決意し神に懺悔の言葉を口にするところから一転して、音樂が贊美歌的なものに変わるところはちょっと感動的。いい仕事しています。
物語の方は公式サイトを見て貰うとして、印象に残っているところをいくつか書いてみたいと思います。
これ、物語の中では地元の黒人の少年に悪魔が乘り移っていて、それが村に災厄をもたらして、……というのが前半の物語の核になっているのですが、実はこれが終盤になってひっくり返るのですけど、テレビのCMとか、新聞の広告を見ると、この驚きの眞相(というほどでもないけど)の部分があきらかにされてしまっていてちょっといけません。まあ、それでも愉しめることは確かですけど。
後半、いよいよ悪魔が正体を現し、メリン神父が信仰を取り戻し、悪魔に立ち向かうことを決意するのと併行して、イギリスの軍隊が村人達の決起が同時進行に進んでいくところはよく出來ています。そして上の方にも書きましたけど、教会に行き、いよいよローマ儀式書を手に取り、神に對する信仰を取り戻す言葉を呟くところはちょっと感動。
悪魔との対決は別にアクションらしいものはなく、結構さらっと書かれています。またグロい描写もそれほどなく、「怖い」「手に汗握る」ような映画ではありません。まあ、死体の描写とかはグロ、というよりも不快感をもよおす「素晴らしい」ものでしたけど。蠅、蛆蟲、體毛、ぐじゃぐじゃの血だまり、のようなアイテムは満載なので、そういうのが駄目な人は見ない方が良いです。