一月八日から十一日までの四日間、御大の北京訪問のイベントについて、いくつかのエントリに分けてレポートしていきたいと思います。今回は、昨年青馬文化の招聘によって実現した北京上海での企画に比較すると、毎日、朝は八時から夜遅くまで講演からインタビュー、ラジオ出演など、ほとんど休みはなしという超過密スケジュールでありましたが、イベントを企画された新星出版の努力と北京の熱狂的なファンに支えられ、すべてのイベントは大成功に終わりました。
羽田から北京入りした御大は、空港に詰めかけたファンに歓迎されたあと、すぐさま午後から捜狐やQQの取材をこなした、――筈なんですけど、初日八日のこれはイベントではなく、自分も見ることができなかったので割愛。
自分が参加出來たのは、その翌日、九日の午前、国際中心で開催されていたブックフェアの新星ブースで行われた「島田荘司七宗罪」から。
御大が来られる前から、会場の準備が慌ただしくなされてい、赤地に金文字で「島田先生、ようこそ中国へ!」という横断幕が会場の後ろに掲げられ、満場の拍手のなか、御大がステージに姿を見せると会場はヒートアップ。
しかし、そもそもこのイベントの告知には「被告 島田莊司」なんてあるものですから、タイトルを見ただけだと吃驚してしまうわけですが、実際はというと、御大の本格ミステリ史での足跡をたどりつつ、その作風などについて七つの視点から御大に語ってもらう、というものでありまして、たとえば第一の罪とされている「践踏伝統」については、「占星術殺人事件」によって従来の本格ミステリの伝統はすべて覆されてしまった、これはいかに、――というふうなもので、まずは司会を勤める・權盟氏がスライドに映し出されたその「罪状」について切り口上めいた語りを行うと、それについて御大が話をする、というスタイルが採られていました。そのほかの「罪」については吉敷の造詣や御手洗のキャラなどなどで、ミステリ観に踏み込んだものから、作中のキャラに言及したものまで、硬軟取り混ぜた素晴らしい趣向であったと思います。
実はこの話も録音しておいたのですが、何しろブックフェアの会場で騒々しく、あまり音がうまく録れていなかったのでテープ起こしは難しそう、……ということで、あとは軽く写真でごまかします(爆)。
和やかな雰囲気のなか、「審判」が行われている様子はこんなかんじ。御大の右隣は、今回、御大の通訳を務められた新星出版・午後文庫の編集者である姚迪氏。
これを終え、ちょっとしたサイン会が行われたあと、会場であった三階から一階へと慌てて移動。
というのも、このブックフェア会場の特設ブースでラジオ「文芸之声」の公開生放送が行われるからで、ブックフェア期間中の九日、十日には、御大のほか、大陸の作家が何人も出演されたようす。
特設ブースの傍らにはその予定が掲げられていて、それを見ると、九日の最初は何とあの莫言が! ――とよく見ると、ブースの後ろの壁には莫言のサインのほか、孔二洞のサインもありました。御大のあと、午後には郭敬明も出演する予定のようで、今回のブックフェアがいかに盛大なものかというのがこれでも判ります。
実際の放送ですが、ブースの外にいると声はマッタク聞こえず何を話していたのかは不明ながら、ファンの他にも、会場内でも人通りの多いところに公開生放送のブースが設置されていたため注目度も高く、足を止めて写真を撮る人もたくさんいました。
で、放送を終え、御大が莫言の隣にサインをし、ブースを出てくると、その裏で何やら人だかりが。何事かと覗いてみると、何と、田原嬢が新作「一豆七・扎」を御大に手渡して握手をしているではありませんか。講談社の蓬田氏が田原嬢を御大に紹介し、周りは二人のツーショットを撮影しようとこれまた凄い人だかり。
ナマで見た田原嬢はそれもう、女神というに相應しい美女でありまして、今回はもう一枚写真を添えておきます。
しかし、スケジュールがミッチリ詰まっているため、ツーショットの撮影が終わると御大一行は早々に会場を後にし、取材兼昼食の場所となるレストランへと車で向かいました。車中では、田原嬢が手渡した新刊「一豆七・扎」のタイトルの意味や、田原とはどんなひとなのかなど、――講談社からは「水の彼方」が昨年刊行されたことを蓬田氏が告げると、そこへおっかぶせるように、島田莊司推理小説賞の二次選考委員である日本人が田原嬢の多彩ぶりを猛烈アピール。曰く、彼女は「跳房子」のボーカルで、プロデューサはフェイ・ウォンの傑作アルバム「浮躁」でもその異能ぶりを発揮した張亜東で、女優としては同性愛をテーマにした「蝴蝶」に出演し、さらには写真の才能も素晴らしく、小説については幻想的な筆致が際だち、日本のミステリも愛読していて、道尾氏の「向日葵の咲かない夏」も読んでいて云々……と、話をしているうちに、一行はレストランへと到着。北京大学ミステリ研の会長も交えて、雑誌のインタビューが行われたのですが、ちょっと写真が多くなりすぎたので、この続きは以下次號、ということで。