台湾の皇冠文化が主催する第一回島田荘司推理小説賞の一次通過作品が発表されたので、一応メモ代わりに書き留めておきます。題名の漢字を見ただけで意味が判然としないものについては勝手に日本語にしたものをカッコ書きでつけてみました。
『印加古墓之謎 (インカ古墳の謎)』 Azure
『謀殺紅樓夢 (紅楼夢の殺人)』 江曉wen
『心術』 王山而
『不實的真相(不実の真相)』 陳嘉振
『獵頭矮靈(首を狩る矮霊)』 烏奴奴,夏佩爾
『魔幻人生』 王稼駿
『輪迴家族』 譚劍
『夢之沙漏 (夢の砂時計)』 黃顯庭
『冰鏡莊殺人事件(氷鏡荘殺人事件)』 林斯諺
『快遞幸褔不是我的工作(幸せ宅急便はボクの仕事じゃない)』 不藍燈
『虛擬街頭漂流記(仮想都市漂流記)』 寵物先生
陳嘉振は以前にも取り上げた『布袋戲殺人事件』の作者で、彼の最新作『矮靈祭殺人事件』の解説によると、この『不實的真相』は『布袋戲殺人事件』、『非典型暴風雨山莊』、『矮靈祭殺人事件』に続く第四長編とのこと。
で、この『矮靈祭殺人事件』に『相信台灣,堅持本格──談陳嘉振與他的作品』のタイトルで解説を寄せているのが、上の『冰鏡莊殺人事件』の作者である林斯諺。この作品は、『尼羅河魅影之謎』、『雨夜莊謀殺案』、『芭達雅血咒』に続く彼の第四長編となります。
『夢之沙漏 』の黃顯庭はちょっと調べたところ、ラジオのDJや演劇の脚本などを手がける一方、倪匡科幻獎などにも佳作入選したことのある経歴の持ち主。ちなみに「倪匡科幻獎」というのは台湾の交通大學科幻研究センターが主催するSF小説の賞です。ということは本格ミステリというよりはSF畑の人なのかもしれません。
『輪廻家族』の譚劍も中国香港では名の知れたSF作家で、何册も本を出版しています。
『獵頭矮靈』の烏奴奴,夏佩爾は台湾の作家で男女のコンビ。小知堂文化から長編ミステリ『殺人上yin』を出しています。
『魔幻人生』の王稼駿は大陸のミステリ作家で、『魔幻人生』は人生三部作の最終編。
『虛擬街頭漂流記』の寵物先生は、明日工作室からも数冊本を出しているミステリ作家で、日本ではミスター・ペッツの名前の方が通りがいいかもしれません。
あとの作家はちょっと判らないです。報道によると、この第一回島田荘司推理小説賞には六十一作の応募があり、やはり台湾からが一番多かったとのこと。このなかから三作が二次選考として選出され、その三作から御大によって選ばれた一作が九月四日に発表され、最終選考に残った三作は中国大陸と台湾から、さらに受賞作については台湾、大陸、タイ、日本の四カ国から出版されることになります。
今回はこのくらいで。また何か公式な発表があったらお知らせしたいと思います。
[06/25/09: 追記]:
どうもIEで見ると文字化けするようなので、化けるところは「読み」に變えました。