一応、ノベライズとはいえ大石圭の最新作。今日になってようやく讀みました。まあ、これで大石圭によるノベライズ呪怨は都合三册になる譯だけども、どれを讀んでも同じです。同じようなシーンが現れるし、讀後感も同じ。「オールド・ボーイ」がノベライズとはいえ大石圭ワールドになっていたのに比較すると、この「呪怨」、伽椰子が偏執的なストーカーになっているくらいで大石圭テイストはちょっと薄め。
ただ本作の場合、ヤラれまくるのがアメリカ人というところがナイスで、日本語が出來ない彼らがこの日本の世間の中で孤立している描写が際だっていていい。
例えば最初にヤラれる夫婦の妻の方なんて、スーパーでカップ麺を買いたいんだけども、パッケージに何て書いてあるのか日本語だから分からないわけですよ、で、彼女は肉は食べないので、カップ麺のなかに肉が入っているのかどうかどうしても確かめたい。それでどうするかというと、コッソリ人目を盜んでパッケージを開いて中の具を覗いたりするわけですよ。この妻、一応海外赴任のエリート社員の妻って設定ですから、地位も名譽もある女性なんです。
それが日本語が分からないばっかりにせっぱ詰まってこんな淺ましいこともしなくちゃならないと。こういう異國での孤獨感というのが特に前半にこれでもかというくらいに效いていています。
そもそも出だしからして、この妻、「サンキュー」しかいえない日本人のタクシー運転手にウンザリしていましたからねえ。陽氣なアメリカ人も觀光でくるにはフジ山藝者で淺草箱根を觀光していればいいんでしょうけど、いざ住むとなると、日本って國はこんなに怖いんだぞ、とアメリカ人を脅しているようでちょっとアレなんですけど。
後半はヒロインとなる女性が日本語ペーラペラなので、この前半のイヤ感が失速してちょっと殘念。それでも大石圭作品に御約束の「あわわわ……」もあるし、彼の作品は全部讀んでいるッて人はまず愉しめるでしょう。映畫「呪怨」のファンのひとにはどうなのか、ちょっと分かりません。
[…] メリケン呪怨第二彈。大石氏のノベライズとはいえ、基本的には例の家にやってきた連中がヒドい目にあうという結構で、大石ファンとしてはこの基本線に氏がどのような個性を乘せていくかというところが見所であったりする譯ですけど、今回は「THE JUON」以上に呪怨らしいというか、逆に言うと大石氏らしさはかなり薄め。 […]