本格ミステリ作家クラブのホームページに「今月の本格トピックス」というのがありまして、ここを見ると、有栖川氏は、
「2/16 台北国際ブックフェアでサイン会やトークショーをしてきます」
とあります。これを見つけた時から興味がありまして、一體いつこの報告がなされるのかと思ってずうっと待っているのですけどまったく更新がありません。で、二階堂黎人のサイトの「恒星日誌」を見ると今度は2005.02.28のところに「有栖川さんと、台湾在住の「幻影城」島崎博さんとの対談内容の報告等」とあるものの、しかしここにもまた詳しいことはまったく書いてありません。
インターネットが普及しスピードが問われるこの時代に、こうまで悠長にファンを待たせているのも如何なものかと。ミステリファンとしてはあの島崎博御大と對談してきたっていうんだから、いやでもその内容が氣になるってもんじゃないですか。
……なんて書いてたら、「誰?島崎博って?」なんて若い人の声が聞こえてきそうでちょっと寂しい、というかここまで畫かなきゃダメですかね?えー、島崎博というのは日本名。実は彼は臺灣人でありまして、臺灣での名前は傳博。かのミステリ雜誌「幻影城」をたちあげ、泡坂妻夫、連城三紀彦、竹本健治といった才能を見い出した方で、いうなれば日本のミステリの中興の祖とでも呼べる人であります(きっと島崎博、幻影城でググればもっと詳しいことを畫いている人がいる筈)。
で、今月號の「野葡萄」に有栖川有栖訪臺の樣子がレポートされていたので、本格ミステリ作家クラブとかプロの作家の方達に先驅けてそのようすを報告してみようかなと思った次第。
まず第一回目の今日は「野葡萄」の先月號に掲載されていたこの臺灣ブックフェアの宣伝から。こんなかんじですよ。画像をクリックすると、一応大きい繪が出るようにしておきました。有栖川有栖の右隣、何氣に伊能静がいたりして結構面白い。左隣の外國人はTimothy Nathan Joel。
何か初日の二月十四日、臺灣に來た日は天氣が惡くて大変だったようで、當初飛行機は七時二十分には臺灣の中正國際航空に到着する予定だったものの天候不順の為、飛行機はいったん九州の空港に着陸したとあります。その後、再び臺灣上空に近づいてみると今度は濃霧のため空港が閉鎖されたりしていて、臺灣に到着したのは予定よりも大幅に遲れてしまったとのこと。有栖川氏と臺灣といえば、以前角川文庫の「有栖川有栖の本格ミステリ・ライブラリー」で余心樂の「生死線上」を取り上げていたのを記憶している方もいるでしょう。
今回の臺灣訪問は奧さんと講談社の編集者の唐木氏、栗城女史が一緒で、翌日二月十五日は記者會見と、二日前に吉田修一の「台北迷路」を取り上げた時にも少しだけ触れた誠品書店でサイン會をやって、その後はメディアの取材をこなし、中國茶を体驗したそうです。また有栖川氏は中国語に翻訳された自分の本の装丁の美しさに感激したとも書いてありますね。確かに最新刊の「ブラジル蝶の謎」などは青が鮮やかな装丁で、講談社のノベルズとは大違いですよ。さらにこの「ブラジル蝶の謎」、この廣告によるとあの「錯置體」の作者、藍霄が大推薦と煽ってます。
……と、またここでちょっと説明が必要でしょう。藍霄という作家は臺灣でも有名な推理小説家でありまして、この記事によると、有栖川氏は彼と島崎博氏を交えての三人でミステリに關して活發な議論を行ったとのこと。二階堂氏が自分のサイトで触れていた「対談」というのはおそらくこれでしょう。で、自分はこの内容が凄く知りたいんですよねえ。講談社の唐木氏と栗城女史は同行したんだから、この内容をシッカリとテープおこしして、「メフィスト」に掲載すること、というかしなきゃ駄目でしょう。御大の発言も氣になるけども、個人的には藍霄のミステリ観とかを知りたいので、氏が有栖川氏とどんな話をしたのか興味ありますねえ。
皆さん、どうせ歐米のミステリに興味はあっても、臺灣のミステリなんて關心もないでしょうから、まあ、このあたりで簡單な説明は終えてと(あ、それでも、もし興味があるというコメントがたあったら、今度、藍霄や既晴の作品なども取り上げてみたいと思んですけど、でも日本語にも翻訳されていないし、きっと皆さん興味ないですかねえ)。
で、續き。ホテルで有栖川氏はメディアの取材を受けていたものの、どうにも空調の調子が惡くてこれまた大變だったみたいです。取材が終わったら、小龍包を食べに行ったとも書いてあります。場所は日本人觀光客が長蛇の列をつくっているあの鼎泰豊。因みに小龍包だったら、去年オープンした大型デパート微風の一階だったかにある上海料理の店のやつも結構美味ですよ、って臺灣旅行の宣伝してどうする(爆)。