という譯で前回の續きです。いったいどのくらいの人が見ているのかマッタク分からない状況で續けるのもアレなので、そろそろ新作のレビューに戻った方がいいのかなア、なんて思ったりしているのですけど(爆)、とりあえずあともう少しなので續けます。
ここ最近の台湾における日本推理小説の出版状況
傳博……
この対談の副題は「解嚴二十年来的推理小説發展」となってます。この前の部分についてはすでに話しましたけども、あともう少し、ここ六、七年の台湾における推理小説の出版状況について補足してみましょうか。ここにおられる方は推理小説に對して興味があってこの対談を聞きに来ていると思いますのでね。
さて、二〇〇〇年に出版された推理小説はほんの少しだけで、殘念なことに、ここで林白出版社も推理小説の出版をやめてしまいます。耳が痛いことではありますけども、皆、推理小説なんて、どうでもいいんでしょう。その理由は、二〇〇二年に加入したWTOが原因です。この後、版権を買う要が出てきて、私たちはどんな作家の、どんな作品を出版するにしても、勝手に選ぶことは出来なくなってしまったというわけです。
日本では毎年、六百點ほどの推理小説が出版されているのですが、この數には改訂された作品と欧米作品を翻訳したものは含まれておりません。これほどたくさんある作品の中から、いったいどれを選ぶのかというのは、これはもう、大變なことですよ。
ここ數年來の出版状況を見てきた限りでは、だいたいこんなかんじです。まずはここ最近、推理小説の文学賞を受賞した作家の作品。それと、ネットなどで色々と話題になった作家の作品というのもありますね。このあたりが選択の対象となります。まあ、こうしたやり方も間違ってはいないけども、しかしこれが十年、二十年前の傑作となると見過ごされることになってしまうわけで、これはとても殘念なことです。
ここ三、四年の間に日本の推理小説を出版しようとこの市場に参入してきた会社も少なくありませんけど、しかしこうした出版社の中には何册も本を出さないうちに、やめてしまった会社もまた少なくない。それは何故か。版権料の高騰ですよ。
ここで版権についてお話しますと、評論家として、私はすでに日本に對して意見は述べています。二〇〇二年に私が新雨出版社にいた當時だと、日本の版権は高くて十五万、安いものとなると十二万円ほどでした。
これが今では三十万円からですからね。推理小説ではなく文学作品だったりすると、これが百三十万円、なんてものもあったりします。台湾の作家が一冊の本を出すとすると、その印税はだいたい台湾元で五万から八万(taipeimonochrome註:日本円に換算すると十七万から二十七万ほど)で、日本の推理小説の翻訳もだいたいも五万から八万といったところでしょうか。
この版権料へさらに翻訳費が加わるとなると、經營は容易じゃありません。日本の作家が台湾を訪れたときに、私は彼らに對してこのことについての不滿を述べましたよ。このままだと、台湾における日本の推理小説の出版点数を維持していくことは出来ないよと。昨年、すでに今年はもう下り坂だと私は話をしていたのですけど、実際その通りで、来年はまだまだ下り坂となりそうです。どの出版社が版権を買い取ったかというのも、私は皆知っています。というのも、出版社はそういうとき、私に解説を書いてくれと言ってきますからね。
最近、私が版権を買い取った方がいいとすすめた一冊の本があるのですけど、向こうは七十万という金額を提示してきましてね、結局、二十五万元というところで折り合いがつきました。こういった面白い本であっても、台湾では損をしてしまう。また何だってこんなに損をする商売をしなきゃならないのかと。
版権だって安い方を買いますよ。前にも言った通り、これだけの數の作品が出ているわけですから、買えない、なんてことはないんです。これは私の一貫した主張であります。
あと作家の写真の使用權が欲しいってことだったので、私がかわりに出版社に電話して日本の作家の寫眞が欲しいって言ったんですよ、すると向こうが言うに、日本の出版社は台湾の出版社にたいしては三万円をいただきます、と。まったくがめつい。色々と交渉して、結局一万円ということで落ち着きましたけど、写真などの資料の使用權だけでも日本ではこんな仕組みになっています。
私が『幻影城』をやっていた頃は、一枚の写真を使うにしても日本円で三千円ほどでした。これが今では四、五千円もかかる。何だって台湾だと一万円も払わないといけないのか。それは台湾が宝島だからってことでしょうな! そんなわけで、台湾の出版社には、言い値が高ければ買わないで欲しいと私は思いますね。
續く。